光のもとでⅠ

31

 相馬先生の帰国を待つ間、時間が過ぎるのがとても遅く感じていた。
 病室に誰かがいるときはあっという間に時間が過ぎていくのに、ひとりになると、一分という時間が途端に長く思えてくるのだ。
 実質、一分は六十秒で何が変わるわけでもない。
 ただ、私の体感時間が遅くなっているだけのこと。
 この病室で時を刻むのは時計の秒針と点滴が落ちる雫のみ。
 外を見れば快晴。
 夏だから、朝から夕方まで明るいまま。
 時計を見なくても、太陽の位置がしだいにずれていくから、あぁ、今は真上でお昼だな、とか西日がきつく壁にあたっているから夕方かな、とわかる。
「雨じゃないけど痛いんだよね……」
 病室にひとりだとひとり言が増えていく。
 そんな自分にも慣れ始めていた。
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