光のもとでⅠ
「翠葉ちゃんは俺の大切な人だから」
 にこりと笑って見せると、彼女は唇をきつく引き結ぶ。
 まるで何かに耐えるように、困惑した様子で。
 エレベーターに乗り込み、顔を近づけると彼女が力んだのがわかった。
「大丈夫だよ」
 俺はクスリと笑い、
「エレベーターには監視カメラがついている。そんなところではキスなんてしないよ」
「…………」
「でもね、ここは少し違うんだ」
 エレベーターを降りるように促し、目の前にあるガラス戸に歩みを進めた。
 ここは院内一のセキュリティが敷かれている。
 数々のセキュリティ認証を解除しないと先へは進めないつくり。
 ガラス戸といっても防弾ガラス仕様だ。
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