光のもとでⅠ
「……俺が聞きたいのはそんな言葉じゃないけどね」
 本当はこんな言葉を言いたいわけでもないけど、今の俺はこうあるべきだろう。
「私の患者をいじめないでくれるかしら?」
「いいでしょう。今日はあなたに任せるとしましょう。……また、明日来るからね」
 そう言って部屋を出た。
 脱力したい自分を奮い立たせ、車まで戻る。
 熟睡して夕飯を食べてから来たはずなのに、身体はヘトヘトだ。
 身体がというよりは、気力が、かな――。
 でも、こんな日はまだ少し続く。
「翠葉ちゃん……悪いけど、少しだけ耐えてくれ――」
 それで"償い"は終わるから。
 エンジンをかけ車を発進させる。
 免停になってもいいから、出せる限りのスピードを出したい気分だった。
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