光のもとでⅠ

26~28 Side Tsukasa 01話

 あれから毎日、午前二時間は秋兄の指導を受けていた。
 意外に思われるかもしれないが、秋兄はきれいさっぱり弓道をやめたわけじゃない。
 今でも人知れず、この弓道場を使っていることを俺は知っている。
 たとえば、夜中まで学校に残っているとき。
 夜中でなくても生徒がいなくなってからの時間を見計らって道場へやってくる。
 図書棟の仕事部屋に道場の鍵があることはずいぶん前に気づいていた。
 着替えるわけでも弓を持つわけでもない。
 ただ、淡々と射法八節を繰り返す。
 とても丁寧に何度も何度も。
 射法八節だけなら道場じゃなくてもできる。
 でも、道場へ来ることに意味があったのだろう。
 道場は弓道場に関わらず、どこでも気が引き締まる思いがするものだから。
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