光のもとでⅠ
「御園生さん、手の力抜いて大丈夫よ」
 藤原さんに声をかけられた。
 気づけば、私は胸の前で両手を組み、思い切り力を入れていた。
 慌ててその手を離すものの、うっ血していた手はすぐに白くは戻らない。
「ま、人間性はともかくとして、腕は確かだから安心なさい。日本の医大を出たあと、しばらくしてからアメリカでカイロの勉強をしていたの。いるのよ、どうしようもない人間だけど、技術にだけは秀でた人間っていうのが」
 藤原さんは呆れたように口にする。
 そして、目の前にある昼食を食べなさい、と促された。
「日本に着いて早々、急患を空港で診たらしいけど、鍼で胃痙攣を止めたって話よ」
 胃痙攣を止めた――!?
 どうやって……。
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