光のもとでⅠ
「私の意気地なし……」
 携帯を見るとどうしてもツカサのことを考えてしまう。
 だから、私は携帯の電源を落とし、サイドテーブルの引き出しにしまった。
「しばらくは見たくないかも……」
 見たくない、というよりは、必要がない、かな……。
 お母さんも蒼兄も唯兄も、毎日三人のうち誰かが来てくれるから、とくに連絡を取る必要はなかった。
 毎日届くのはお父さんからのメール。
 いつも届くのは変なメール。


件名 :田中さんの食べ終わった弁当箱
本文 :田中さんは卵が嫌いだと思う。
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