光のもとでⅠ
「何かあったかー?」
 相も変わらず、俺は祠前にある石に座り込む。
 ここに参るのは俺の日課であり、碧がいない今は俺が掃除をしたり花を供えたりしている。
「翠葉ちゃんのことは聞いていると思う」
「うん、また倒れたっていうか、今度は記憶が無くなったって蒼樹から聞いてる」
「おまえはこんなときでも冷静だな」
 冷静、ねぇ……。
「別に、そういうわけでもないさ」
 祠に背を向け、静の方を向けば珍しい顔をしていた。
 これはなんて表情かな。
「何をそんなに危惧してんの?」
 なんとなく、理由は察しがつくけれど、忙しい静がここまで出向く理由がわからない。
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