光のもとでⅠ
 ……あぁ、目の前にいるから、かな。
 行方不明という状況じゃないから落ち着いていられるのか……。
 ったく、年上のくせに手のかかる――。
 幸い、秋兄の顔には適度な大きさの痣がひとつと口端が切れている程度で済んでいた。
 人を殴るのに長けていなくて良かったと思う。
 念のために藤倉に戻ったら頭部CTくらい撮らせるべきだろうか……。
「司はどうやってここまで来た……?」
「静さんの特殊部隊、ゼロ課の人間に送られた」
「――ゼロ課が動いた……っていうか、その存在をおまえ知らされたのかっ!?」
 秋兄の手が見事に止まる。
「それが何……」
「いや、ご愁傷様だなと思っただけ」
「は……?」
 ご愁傷様なのは秋兄の行動であり、秋兄の頭の中だと思う。
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