光のもとでⅠ
 もっと違うところで勘を働かせろ、言いたいのを抑え、
「なんていうか……とりあえず顔を見て安心したいんだけど。それから、話したいこともある」
 秋兄のことを――会ってみないか、と訊きたい。
『でも、私は別に今日退院できるわけじゃないし、ここ病院だし、明日もいるし……』
 こういうときに限って食い下がる……。
「高速を走ってる三時間は寝られる」
『……そういうの、休んだって言わないと思うよ?』
「俺の身体は翠の身体とは出来が違う」
 さて、最近の気の強い翠からはどんな返事があるものか……。
『それはまた……人が気にしていることをサラッと言うよねっ?』
 くっ、噛み付かれた。
 以前なら黙りこんだんじゃないだろうか。
< 2,927 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop