光のもとでⅠ
 もっとも、万全の体制だからといって無理させていいというわけじゃないと思うけど……。
「限界」という言葉を耳にした途端、秋兄が携帯を手に取る。
「気づくの遅いんじゃない? なんのためのものなんだか……」
「司……おまえこれを知ってたからなのか?」
 それもあるけど少し違う。
 俺だってさすがにこれは堪える。
 翠が何も言ってくれないことに……。
 自分ひとりが勘違いしていたことに――。
「それならもっとやりようがあるだろっ!? 話を後日に回すことだってでき――」
「それさ、俺に言うこと? だいたいにして、バイタルを見れる状況にいるやつがもっと神経使えよって話だろっ!? それに、翠が話を止めないのになんで俺が止められるんだよっ。なんでもかんでも俺に振ってくれるなっ」
 秋兄は絶句していた。
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