光のもとでⅠ
「もう大丈夫?」
 希和ちゃんに訊かれて少し悩んだ。
 こういうとき、「大丈夫」という言葉は適切じゃないと、藤原さんにもツカサにも徹底的に仕込まれたのだ。
 だから、ほかの人に答えるときにも間違えてはいけない。
「今は平気」
 たぶん、これでいいと思う。
「十分後は?」
 質問を変えて訊いてきたのは、後ろから現れた海斗くんだった。
「おはよう……」
 海斗くんは真っ黒に焼けていて、なんだか大人びて見えた。
 そういえば、ほかの男子たちもどこか一学期とは違う印象を受ける。
 日に焼けたから、ただそれだけなのだろうか。
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