光のもとでⅠ
「いいから、こっち……」
 校舎内の階段を下りて一階に着くと、桜林館の外周廊下へと歩みを進める。
 さっき保健室から教室へ戻る途中にも感じた昇降口付近の熱気よりも数倍熱い感じ。
 始業式前はもう少し涼しかった気がするんだけどな……。
 あ――。
「二階のテラスはもっと暑かったよね?」
 少し前を歩くツカサに追いついて顔を見上げると、
「たぶんね……。別に翠のためじゃない、俺だって暑いよりは涼しいほうがいい」
 ツカサは私が言う前に答えをくれることが多い。
 時に、言いたいことを言わせてもらえないというか……。
「ありがとうくらい言わせてくれてもいいのに……」
「あぁ、それなら今からでもかまわないけど?」
 と、シニカルな笑みを浮かべる。
 ちっとも残念がってないし、むしろ楽しそう……。
 そんなツカサの表情を見るのは久しぶりな気がした。
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