光のもとでⅠ
 私がピアノの椅子に座ると、ツカサは私の右側に少しだけ腰掛ける。
 右手の稼動範囲を邪魔しない位置。
 それは、お見舞いに来てくれたときの距離感に似ていた。
 すぐそこにツカサがいる。
 それがとても嬉しくて、単純な私はそれが音に表れる。
 メロディと歌詞を伴ったツカサの声がすぐそこから聞こえてくるのが不思議な感じはしたけれど、声の振動がとても心地よかった。
 三回なんてあっという間に思えた。
 誰にでも優しくありたい。
 でも、聖人君子でもない限り、そんなことは無理なのかもしれない。
 だからせめて――自分が大切だと思う人たちには優しくあれますように……。
 そう願いをこめてピアノを弾いた。
 ツカサは何を思いながら歌ったのかな。
「あなたと」以外の曲も、もう少し歌詞のアナリーゼをしてみよう。
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