光のもとでⅠ
 外は秋晴れ。
 車に荷物を積み込むと、
「大丈夫だよ」
 と、蒼兄の手が頭に乗る。
「うん……」
 大丈夫――蒼兄のこの手にはおまじないの効果がある。だから、大丈夫……。
「あの日は秋斗くんとふたりで行ったのよ。だから、なるべくそれと同じ状況がいいと思うの。もちろん、具合が悪くなったらすぐに連絡してね?」
 気づけば栞さんと昇さんが後ろに立っていた。
「トリガーブロックの準備もしてある。ホテルに着いたら治療をしよう」
「昇さん、ありがとうございます」
「気にするな。こちとらタダで泊らせてもらえるなんて光栄な限り」
 タダ……?
 そういえば、宿泊料金のことは何も聞いていなかった。
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