光のもとでⅠ

39

 本当は身体を冷やさないほうがいいこともわかっている。
 でも、じっとしていると痛みに神経が集中して余計に痛くなってしまいそうだったから外へ出た。
 それと、ここへ来た本当の目的――。
 昨日は森林と噴水を見た。
 見ていないのはチャペルのみ……。
 こんな朝早くから式を挙げるということはないだろうから、鍵がかかっていなければ見れるかな、と思ったのだ。
 廊下を歩く人はみんなレストランへと向かって歩いている。
 品のいい老夫婦であったり、きれいに着飾った女の人をエスコートする男の人。
 藤倉のウィステリアホテルとは少し客層が違う感じ。
 もしくは、時間の流れが違う。
 藤倉のホテルでは、もう少しテンポよく人が動いていた気がする。
 ここは、とてもゆっくりと時間が過ぎる。
 人の歩みひとつとっても、その差が歴然とわかるようだった。
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