光のもとでⅠ
 全身に痛みがあるときと同じ。
 どんなに痛くても薬が効く効かない、効く時間が短い長い――。
 それは人がいてもいなくても変わらないのだ。
 栞さんが出かけたのは十一時半を回った頃だった。
 お昼になっても動ける気はせず、栞さんが帰ってきたらスープをあたためてもらおうと思っていた。
 薬を飲んで少し痛みが引いているから、今のうちに少し寝よう……。


「……い、翠」
 どうしてツカサの声が聞こえるんだろう? 夢……?
 痛みで血の気が下がっている額が少しあたたかいと感じた。
 目を開けたけれどまだ暗い。
 どうして……?
 額に手を伸ばすと、ホットタオルに触れた。
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