光のもとでⅠ
「もう体調は大丈夫なの?」
 嵐子先輩に訊かれ、
「はい……薬が効けばなんていうことはなくて……」
 そう答えると、ツカサから無言の視線が飛んでくる。
 別に嘘をついているわけではないのに、どうしてか後ろめたくなってしまう。
 それはきっと、ODを知られてしまったから。
「テスト明けたら歌合せに入るから、ふたりはもっと忙しくなるよ! 覚悟しておいてね」
 茜先輩に言われてはっとする。
 そうだ――。
 歌は歌うだけではなく、歌合せがある。
 そして、人前で歌うということをすっかり忘れていた自分に驚いた。
「そんな顔をするんじゃないかと思ってた」
 茜先輩がクスリと笑う。
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