光のもとでⅠ
「作品には人柄が出るな……」
 そう思えるものだった。
 決して都心のホテルのように大きなものではない。
 個人の邸宅を少し広めにし、何棟もつなげたようなもの。
 球体の建物が目を引くが、この自然の中に建つそれは、森に溶け込み、違和感を感じさせない。
「完成が楽しみだな……」
 蒼樹が零樹さんを目標とする意味が少しわかった。
 数時間後、零樹さんからメールが届いた。


件名 :応援してるけど
本文 :起業するのは翠葉のためじゃ
    ないほうがいいと思うよ。
    翠葉が振り向かなかったとき、
    仕事がうまく軌道にのらなかったとき
    そういうときに使える言い訳は
    なくしたほうがいい。
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