光のもとでⅠ
 そのとき、少し距離を置くことも考えた。
 けど、結果的には実行には移せず……。
 側にいたいと思う気持ちと、目の届くところに置いておかないと不安だから、というのと――夏休みにおいては、翠自身に側にいることを望まれていると思えたから。
 俺と一緒にいることで、翠に何か危害が加わるのだとしたら、そんなものは俺がどうにかすればいいだけのこと。
 翠を傷つけたいわけじゃない。
 もしそういうことになったとしても、必ず助けにいく、とそれをわかってほしかった。
 翠は意外と条件の刷り込みには弱いから。
 パブロフの犬よろしく的に、何かあれば俺が助けにいく、という図式さえ構築できれば、俺はもう一歩翠に近づける気がしたんだ。
 何よりもやっと一緒にいる口実ができた。
 生徒会で会計というポジション。
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