光のもとでⅠ
「朝陽たちは?」
「生徒会の先輩たちは、半強制的に、だったでしょう?」
 あれはなんていうか、俺への当て付けだとか、俺をからかいたかっただけだとも思うが、今になって考えてみれば、緩衝材になってくれたのかもしれない。
 翠が下の名前で呼ぶ男子は藤宮の人間三人だけだ。
 佐野ですら苗字で呼んでいる。
 それを目立たなくするために、名前で呼ぶように仕向けてくれたのかも――と今なら思わなくもない。
「それに、『先輩』がついているから呼びやすいだけ。でも、自分の中のイメージを重視するのなら、久先輩は会長って感じだし、朝陽先輩は美都先輩って感じ。優太先輩は春の陽射しみたいな人だから、春日っていう苗字がとてもしっくりくる。でも、優しい先輩だから優太先輩でもあまり違和感はないみたい」
 何をどうしたら会長が会長って感じなのだろうか。
 会長はあまり会長の風格を持っているようには思えない。
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