光のもとでⅠ
「うん、旅行なんて久しぶりですごく楽しみ。相馬先生に療養だって言われたけれど、療養になるのかな?」
 嬉しそうに笑う顔を見て思い出す。
 そういえば、春にふたりで出かけると聞いたときも、俺は複雑な心境だった。
 この感情はそれに近いものがある。
 形にはならない、言葉にはできないモヤモヤしたもの。
「……ふたりで平気?」
 本当はそんな心配をしているわけじゃない気がする。
 俺が嫌だと思う理由は――。
「……え? ふたりじゃないよ? 蒼兄と唯兄も一緒なの。それから万が一のためにって、栞さんと昇さんも一緒に行ってくれるのよ」
「――やられた」
「……何が?」
「こっちの話……」
 くっそ……秋兄にまんまと嵌められた。
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