光のもとでⅠ
「俺らが中三のとき、千里が新入生で入ってきた。そのとき、茜のお母さんが精神的にひどく不安定な状態で――もともと、不安定な要素はたくさんあったんだけど、それをもろに見てきた茜は少し変わっちゃったんだ。高等部に入ってすぐの頃、親が片親で本人も芸能界に片足突っ込んでいるような人間は加納の家に相応しくない、ってうちの人間に言われたらしい。大人って勝手だよね。自分の色恋沙汰に子どもを巻き込んでみたり、自分の家の事情で子どもの相手を値踏みしたり」
「…………」
「それで俺たちは終わった。俺が何をどうフォローしても彼氏って立場に戻ることはなかった。……情けないことに、俺はしっかりフォローすることもできなかったんだ」
 でも、それならなんでいつも一緒にいる?
 傍から見たら、どう見ても付き合っているようにしか見えない。
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