光のもとでⅠ
 だからこそ、思い出すことがいいことと言い切れない。
 けれど、俺を想ってくれたあの一時の気持ちを思い出してほしいと思ってしまう。
「自分勝手、わがまま、自己中――まんま俺」
 大きくも小さくもない声が車という狭い空間に響く。
 今までなら、「それで何が悪い?」と言えただろう。
 でも、今はそう言い切れない。
 こと、彼女に関することにおいては。
 俺にこうして変化があるように、司の内面にも変化が起きているのだろうか。
 司――「心揺さぶられる」っていうのは、こういうことを言うのかな。
 そういう話を司とならできそうで、司だから、ライバルだからこそできない。
 俺たちの関係は一生従弟だけど、そのほかの、目に見えない部分に亀裂が生じたりするのだろうか。
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