光のもとでⅠ
「なんつーか……落ち着かない」
 俺がそう言うと、
「俺は参考になるかな?」
 と、あんちゃんが答えた。
 向かいに座るあんちゃんは部屋の中を見回し満足そうな顔をしている。
 男ふたりだっていうのに、わざわざ照明を落としてキャンドルなんてつけてる稀有な人。
「リィがいないんじゃつけても意味ないじゃん」
「部屋の照明を使わなくてもこれだけ部屋をきれいに見せられるってすごいことだと思うよ」
 新たなる視点を与えられ、改めて周りを見回す。
 ホテル住まいを二年以上している俺は、ホテルの照明自体に慣れてしまっている。
 計算しつくされた場所に配置された照明たち。
 あんちゃんが感心するだけのことはあるのかな?
 はっきりいって、俺の専門分野外だ。
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