光のもとでⅠ
 まぁ、数値に異常が出てからじゃまずいんだけど……。
 あんちゃんと顔を見合わせつつその電話に出る。
「何かありましたか?」
『いや、ただいま頭冷やすべく入浴中』
 はぁ……?
「あんちゃん、この人またわけのわかんないこと言ってんだけど」
「は? だって今、そこに翠葉いるだろうに……」
「頭冷やすべく入浴中とかほざいてる」
 俺もあんちゃんもどんな状況なのかは把握できず、携帯から聞こえてくる音に耳を澄ませていた。
 次に発せられた声は、
『で、若槻と蒼樹は何してた?』
 なんつーか、この人がこんな無意味な電話かけてくること自体が珍しく、ちょっとからかいたい衝動に駆られた。
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