光のもとでⅠ
「先輩……彼女、先輩に抱っこされるのが恥ずかしかっただけなので、あまりいじめないでください」
「そんなの、慣れてもらわないと困るんだよね。葵、ここまででいい。彼女をこちらへ」
 と、手を差し出す。
「翠葉ちゃん、力になれなくてごめんね」
 苦笑をされて、「いいえ」と答える。
「こちらこそごめんなさい。重かったでしょう……?」
「そうだな、肩車したときよりはね」
「ほほぉ……葵はそんな幼少の頃の彼女を知ってるわけだ?」
 秋斗さんが強引とも言える動作で私を抱き受ける。
「一度だけですってばっ! 一回会ったことがあるだけですからっ、今度蒼樹にでも言ってアルバム見せてもらってくださいっ。俺、先輩の家のドア開けてきますっ」
 秋斗さんは何も言わずに歩き始める。そして、玄関に入ると高崎さんは静かに玄関のドアを閉めた。
 そのまま廊下を抜けリビングも素通りする。
 寝室のベッドに下ろされても秋斗さんは何も口にしなかった。
 どうしよう……すごく怒ってるんだ――。
「さて、どうお仕置きしようかな」
 先ほどと同じ笑みを浮かべた。
「……ごめんなさい」
「まずは、翠葉ちゃんの口から理由を聞きたいかな」
 ベッドに腰掛けると右手を取られた。
 それだけで鼓動がうるさくなる。思わず手を引っ込めたくなるくらいには……。
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