光のもとでⅠ
 なんで自分ばかりがいつもこんな役なんだか……。
 そうは思うけど、「こんな役」でも必要ならやる。
 俺だって、もっとゆっくり進みたいと思っていた。
 翠の抱えているものをひとつひとつ解き放てたらいいと思っていた。
 海斗の話を聞くまでは……。
 真相を知ったら無理だった。
 翠がどうして人と行動を共にすることにそこまで拘るのか。
 それを知ったら無理だった。
 翠の抱える不安要素――その中に俺も入っていた。
 急いだところで翠の中で凝り固まったものがすぐに解けるわけじゃない。
 そんなことはわかってる。
 それでも――中学のときと「今」を混同していることに腹が立った。
 トラウマ――違うとわかっていてもできないからこその「葛藤」であることは理解している。
 それでも腹が立ったんだ。
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