光のもとでⅠ
「あぁそう……忘れてたわけね」
「違っ――くはないけど、でも…好きと怖いは正比例なんだよ?」
 勢いよく否定したことをさらに否定しては、また珍妙なことを口にする。
「何それ……」
「だから……すごく好きで大切な人ほど離れていっちゃうのは怖いから……だから、怖くて言えなかった」
 俺、これは喜んでいいところだろうか。
 いや、でも翠だからな……。
「ふーん……別に、翠から話さないならこっちから切り込むまでだけど。そのたびにこんなに泣く羽目になるなら自分からカミングアウトしたほうがいいんじゃないの? 俺、そのあたりは容赦ないよ」
 平静を装うとすればするほどに毒づく自分がいる。
「……私からツカサに話してたら、そしたら――」
「今朝ほどには突き放さなかった。もう少しくらい加減した」
 本当かどうかは怪しいけれど。
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