光のもとでⅠ
 ツカサの左手にあった携帯を、また自分の右手に握らされる。
「せっかくがんばって一歩踏み出したなら、その努力を無にするな。ここで放棄したら『何もしなかったほうがまし』になるんじゃないの?」
 よく聞く言葉――。
「やらなかった後悔よりも、やった後悔のほうがいい」って……。
 それはどの辺りに境界線があるのだろう。
 やって良かった、やらなければ良かった。
 いったいどこに境界線があるのかな。
 私は今、メールを送ったことに後悔をしているのだろうか。
 みんなの反応を怖いと思っていて、涙だって止らなくて、状況的にはかなりボロボロ。
 でも、だからといってメールを送らなかったほうが良かった、という結論にはたどり着きそうにない。
 私は今どこにいて、どう進みたいのだろう――。
< 4,586 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop