光のもとでⅠ
 六時過ぎ、蒼兄が帰ってくる時間に身体を起こせるようにするにはそうするしかなかったのだ。
「おはよぉぉぉぉ……」
 カウンター側から唯兄に声をかけられてドキ、とした。
「ゆ、唯兄、おはようっ!」
 わざとらしい自分の声の大きさに激しく後悔。
 でも、唯兄は何も感じなかったみたい。
「おはよう」の「お」の字も「ほ」に近い発音だった。
 まだ少し眠そうに目をこすりながら、
「願わくばー、リィの愛情がこもった濃いインスタントコーヒーを所望」
「……コーヒーなら挽いたものが冷凍庫に入っているからちゃんと淹れるよ? 蒼兄も飲むと思うし……」
「うんにゃ、俺はインスタント愛好家なので」
 と、丁寧に断られる。
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