光のもとでⅠ
「だって、俺にキス以上のことはしないって言った手前あるし」
 秋兄の言葉に絶句する。
「それ、冗談とかじゃなくて?」
 若槻さんがむくりと起き上がり笑みを消した顔で尋ねる。
 蒼兄は、「うんうん」と首を縦に振るけど――。
「それ、取り消させてくれる? って言われたのだけど、どうしよう――」
「「はあああっ!?」」
 ふたりはまたしてもベッドにガバリと乗り出してきた。
「どうしよう……。お付き合いするのって、怖いね……?」
 私の言葉に、
「相手が悪い」
 と、若槻さんが即答する。蒼兄はひたすら苦い笑いを浮かべていた。
「でもね、私に合わせてくれるって言ってた……。それでもすごく怖い……」
 そう言って蒼兄に身を寄せると、蒼兄はいつもみたいに背中をゆっくりとさすってくれた。
 ベッドマットがギシリと音を立て、頭に若槻さんの手が伸びてきた。
 若槻さんに視線を移すと、クスリと笑う。笑いながら頭を撫でてくれた。
「泣いちゃうくらいに怖いか」
 と。
 コクリと頷くと、
「そんなに怖いものでもないんだけど……。でも、やっぱ初めての女の子は怖いのかなぁ……」
 と、若槻さんは天井を仰ぎ見る。
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