光のもとでⅠ
 知られたくないと思っていることを別ルートで知ろうとするのはきっとそういうことと同じだと思う。
「……リィはいい子だね」
 唯兄の口にした「いい子」という言葉は少しコミカルな響きをしていた。
 それにしても、静さん――。
 あれ以来会っていないし電話もしていない。
 いただいた資料のスケジュールだと十月には打ち合わせというものがあるみたいだけれど、今のところそういった連絡はない。
「今度は何を考えてんの?」
「あ……静さんと連絡取ってないな、と思って」
「仕事のこと?」
「ん……」
「そうだなぁ……。九月の時点でパレス会員の顧客たちにはダイレクトメールが発送してある。十月には紙面広告が出て十一月にはCMが流れる予定だけど、少し予定繰り下げで十一月の下旬からCMと紙面広告が一斉に出る。その経路作ってたの俺だから間違いないよ。でも、表向きにはあくまでもパレスガーデンの宣伝しかされてない。リィのことはパレスに訪れた人間じゃないとわからないような工夫がされてる。紅葉祭が終わったらスタッフとの顔合わせがあるよ。俺が知ってるのはこのくらいかな?」
 次々と教えてくれたことにびっくりしていた。
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