光のもとでⅠ
「そっか。じゃ、がんばって行っておいで。帰りは迎えに行くからね。終わったら携帯に連絡!」
 夕方の話をしているところへ栞さんがやってきた。
「あら? 今日は少し早い?」
 その言葉に曖昧な笑みを返す。
 栞さんは私たちが家を出る五分から十分前にお弁当を用意して持ってきてくれる。
 最近は唯兄が、「弁当も作ろうかな」なんて言いだしていて、「私の仕事をいくつ取り上げたら気が済むのかしら?」と、栞さんと唯兄の主婦業合戦がしめやかに繰り広げられていた。
 唯兄はお仕事大丈夫なのかな、と思ったけれど、尋ねてみたら、
「仕事のことなら気にしなくていいよ。それに、この家で暮らすなら、生活スタイル変えたほうがいいと思うんだ。そのほうが俺の身体にもいいしね」
 と、生活改善を図っていることを教えてくれた。
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