光のもとでⅠ
 だいたい一年に十センチから十五センチ。
 もし、自分が一歩も動けない気がしていても、時間は過ぎていて、ちゃんと私も何かしら成長していると思わせてくれる。
 だから、髪の毛を切れないでいた。
 宮川さんはホームケアをしっかりしてくれるから、と褒めてくれるけど、本当は、髪の毛をきれいに保ちたい以前に、これだけが私の成長の成果のような気がしていたからなのだ。
 だから、大切に大切に伸ばしてきた。
 ただ、それだけ……。
 もし、私がこの髪の毛をバッサリと切ることができたら、それはものすごい進歩なのだと思う。
 入院しているときに切ってしまおうか、と思ったのは衝動以外の何ものでもなかった。
 だから、宮川さんが止めてくれて良かったと思う。
 宮川さん、ありがとうございます――。
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