光のもとでⅠ
 人が多くても慣れている階段のほうが落ち着く。
 さらにはその中にクラスメイトの顔を見つけるとほっとする。
「大丈夫だったみたいだね」
 階段を上がりきったところにいた河野くんに声をかけられた。
 その隣には佐野くんもいる。
「うん……でも、なんでここにいたの?」
 まるで待っていてくれたような気がするのは気のせい?
「佐野が戻ってきたとき、賭けを持ちかけたんだけど、賭けにならんかった」
「え……?」
「御園生が二階から戻ってくるか、こっちの階段から戻ってくるか、って言われたんだけど、どう考えてもこっちでしょ?」
 と、私の後ろの階段を指す。
 ……なるほど。
 上がってきた階段を振り返り、少し恥ずかしく思う。
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