光のもとでⅠ
 生まれてからのほとんどの時間を一緒に過ごしてきた人間がたくさんいる。
 私たちにとってはその中の三年間にすぎない。
 でも、外部生である佐野や翠葉にとっては違う。
 高校三年間という時間を翠葉がどんなふうに感じるのかなんてわからない。
 人には平等に一日二十四時間という時間が与えられているけれど、感じ方は人によりけり――千差万別だ。
 佐野は常に「タイム」と向き合っている。
 コンマ一秒を縮めるための努力をどれほど積んできたことか……。
 それを考えたとき、時間があるからといって、その時間に胡坐をかいていいのかに悩んだ。
 でも、翠葉の抱えるものは焦ったところでどうこうできるものでもないだろう。
 それは変わらないけれど――。
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