光のもとでⅠ
 住民票上では藤宮警備の社宅に住んでいることになっているけれど、実質、俺はそんなところに住んではいないわけで……。
 郵便物関連はそっちへ行かず、ウィステリアホテルのフロントに届き、澤村さん経由で俺のもとへ届けられる。
 "囲われてる"って意味じゃ数年前とそう変わりはないけれど、この俺がまともに働いているっていうのは雲泥の差だ。
 俺の前職はヒモ。そして時々依頼がくるハッカーでありクラッカー。
 要はその日暮らしをしていたわけだ。
 だのに、藤宮警備にハッキングを仕掛けたらまんまと捕獲された。
 ハッキングをかけている際の駆け引きはなかなか楽しかった。
 こんなに手ごたえがあったためしなんてなかったし。
 けど、どうにも掻い潜れなかったため、逃げようとその場を離れようとしたとき――。
 女の家のドアを開けたらいたんだ。目の前に。
「君、うちに来ない? 俺のもとで働くのと、今から警察に余罪証拠付きで突き出されるのとどっちがいい?」
 イケメンヤローはあり得ないくらい嬉しそうな顔で笑ってた。
< 517 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop