光のもとでⅠ
 あれは助言とも取れなくはないが、その実どちらでもない。
 今ある司の状態を指摘しただけとも言えるし、けしかけた、とも言える。
 言葉なんて相手がどう受け取るかによって意味が変わったりする。
 だからこそ、俺は翠葉ちゃんに言葉がきちんと伝わっているかの確認を怠れない。
 彼女にだけは真っ直ぐ言葉を届けたいと思うから。
 その分、余計にストレートな物言いになる。
 それだけでは不安な俺は、さらにたくさんのたとえ話を用意するんだ。
「茜ちゃんは司の味方でしょ?」
「えぇ、もちろん」
 それはそれはかわいらしく微笑んだ。
「私は秋斗先生がなんであんなことを司に言ったのかがわからない。秋斗先生だって、今は司にアドバイスする余裕なんてないでしょう?」
「あぁ、ないね」
「じゃぁ、どうしてですか? 何か黒い企みでも?」
 この子は相変わらずだな……。
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