光のもとでⅠ
 コンクールで賞を取れば親の七光りと言われ、けれどコンクールでいい成績をおさめなければ父親の視界にも入れない。
 母親からは「どうしてできないの」と責め立てられる。
 どんなに自分が努力してがんばったところで得たい評価は得られないのに、そんな努力を重ねれば好きな人の両親から蔑まれる。
 自分がいったい何をしたのか、と――。
 周りの大人に対する不満を俺にぶつけてきた。
 文句を言いたくても聞いてくれる大人がいなかったのだろう。
 俺だって少し前までは学生だったわけだけど、彼女よりはいくらか年を重ねていたわけで、高校一年生の彼女からしてみたら、十分大人と呼ばれる類に組していた。
 俺と彼女の出会いはそんなものだった――。
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