光のもとでⅠ
 それは隙のない作られた笑顔。
 ふーん……それってこの年の頃の子が言う台詞?
 浮気性の男と付き合っているというのなら話は別だけど、彼女の相手は猿だ。
 猿を見ていればわかる。
 あれは間違いなくこの子が好きだし、ほかの女など目にも入っていないだろう。
 ということは、この子の経験がそんな台詞を言わせているわけではなさそうだ。
 ――母親が精神科に通院していると言っていたか。
 未婚の母親から生まれた彼女。父親は彼女のことを認知はしているし、全くコンタクトを取っていないわけでもないらしい。
 その父親にはほかにも女がいて、彼女や彼女の母親と同じ境遇の親子がほかに四組。
 どれもさっき得た情報。加納の人間が口にしていた言葉から得た情報だ。
 遊びなら遊びで子どもなんて作るなよ、と思うし、認知しているからといって責任を取っていることにはならないだろう、と思う。
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