光のもとでⅠ
 しかし、バスルームの引き戸を開けたときに少し考えが変わった。
「悪い、三十分にして」
  バスルームの前から声を発すると、眉間にしわを寄せた姉さんがキッチンから顔を出した。
「なんで」
「少し湯船に浸かりたい」
「……疲れてるの?」
「多少」
「ふーん……いいわ。きっかり三十分よ? パスタの茹で上がり時間を合わせるからそれ以上は認めない。それ以上になったら……そうね、バスルームで食べさせようかしら?」
 本気なのか冗談なのかわからないまま、
「とっとと入ってらっしゃい」
 と、再度キッチンへ姿を消した。
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