光のもとでⅠ
 今までありがとう。
 今度は私が届ける番だから――だから、聞いて?
 届いて――。
 ピアノの音のみだった伴奏は後半になると吹奏楽部の音が加勢する。
 木管楽器に金管楽器、ヴァイオリンのピッツィカート。
 音が溶けてひとつになる。ドラムが加わって全体的に音の層が出揃ったと思った。
 そんなとき、ハープのグリッサンドがきれいに響く。
 この音――私のハープと同じだ。
 サルヴィでもカマックでもなく、青山のTHE140N。
 聴き馴染みのある音に心が和んだ。
 音の中心にいる自分は幸せで、あたたかい人たちに見守られている自分はもっと幸せで、この幸せをどうしたらみんなに伝えられるかな。
 私がどれだけみんなを好きで、どれだけみんなに感謝しているか――。
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