光のもとでⅠ
 想いを伝えたい人がいるから――だから、ステージに立ったの?
 私だって人前でこんなことをするとは夢にも思わなかった。
 でも、伝えたいことがあったから……。
 だから、ステージに立つことができた。
 自分と比べてみたらツカサにだって同じことが当てはまりそうだし、そのほうがステージに立った理由としてしっくりくる。
 ツカサ……。ツカサはレンズの向こうに誰を見ているの?
 間奏に入り、ツカサの視線がカメラから外れるたびに私は胸を撫で下ろしていた。
 アップから引いて撮影されると、小さなツカサにほっとする。
 あの顔のアップと視線は心臓に悪い。
 おかしいな……。
 本当だったら目の保養になるはずなのに――。
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