光のもとでⅠ
「……それはですね、あまりにも御園生さんが御園生さんらしくて、俺はどうしたらいいのかな……と。途方に暮れた結果、言語能力に費やすメモリ容量が足りなくなってしまったから。……ということにしておいてください」
 佐野くんは微妙に長く奇妙な回答をくれた。

 嵐子先輩にリップグロスをつけてもらい、飲み物を持ったまま昇降機近くに立つ。
 ステージから降りてきたツカサと目が合ったけど、なんだか複雑すぎる心境に目を合わせてはいられなかった。
 視線を逸らしたことが気に食わなかったのか、「何」とすかさず突っ込まれる。
「なんでもない」
「なんでもないっていうのは、そう見える顔と声を出せるようになってから言え」
「……じゃ、何かあるけど言わないだけ」
「ふーん……じゃ、あとで容赦なく問い詰めようか?」
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