光のもとでⅠ
「……誰か、好きな人ができたかな?」
 茜先輩の問いかけに頷くと、重力に従って涙が零れた。
「でも、失恋決定で――」
 グス、と音を立てながら答えると、
「なんで……?」
「好きな人には好きな人がいました」
「……それで泣いていたの?」
「……おかしいですか?」
「……ううん、おかしくない。おかしくないけど――結論は急ぎすぎないほうがいいかな。……私が言う資格はないけどね。私は時間をかけすぎだから」
 瞬間的に腕にさらなる力をこめられ、
「行ってくるね」
 立ち上がった茜先輩は、すでに仮面を装着していた。
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