光のもとでⅠ
 俺は彼女の側まで戻り、
「翠葉ちゃんがいいって言うならずっといるよ」
 彼女の額にかかる髪を払い、
「だからおやすみ……」
 と、額にキスをした。
 拒まれるかと思いながらゆっくりと顔を近づけたけれど、避けられることはなく、目を閉じキスを受けてくれた。
 顔を離すと、心なしか表情が和らいで見えた。そして、そのときには眠りに落ちていた。
「半分くらいは寝ぼけてたかな……」
 彼女らしくない言動と反応だった。これが素だと嬉しいんだけど……。
 玄関に置いてあったアタッシュケースからパソコンと資料を取りだし仕事にかかる。
 パソコンには蔵元と若槻からのメールが届いていた。
 蔵元からのメールは仕事の割り振り。
 俺がやる予定だった仕事を二件若槻に回し、その仕事が上がってくるおおよその時間と最終確認は俺がやるようにという内容。
 若槻からのメールは主に愚痴だった。
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