光のもとでⅠ
 ツカサは……。
 好きな人の前なら自然に笑うのかな。
 穏やかに、優しい目で笑うのかな……。
 優太先輩が嵐子先輩を見るように、久先輩が茜先輩を見るように、そんな優しい顔をするのかな。
 私が見たことのない笑顔を見られる人が羨ましくて仕方がない――。

「お、藤宮先輩戻ってきたね。次、茜先輩の歌か」
「うん、次はどんな歌だろう。……あのね、私に歌ってくれるって言われたの」
 それが嬉しくて、少し自慢するように話した。
「うんうん、だろうね」
 佐野くんはにまにまと笑っている。
「これ、用意するのすごい手間隙金人員かかってるからね」
 手間と暇とお金と人員……?
< 5,896 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop