光のもとでⅠ
 湊ちゃんには、「起きてしまったことは仕方がない。けど、そのあとのフォローくらいはきちんとしろ」と言われた。けれども、俺はフォローというフォローはできずにいた。
 彼女が俺に話してさえくれればどんなフォローだってするつもりだったし、できただろう。が、彼女は俺に何を言うこともなくひとりで答えを出した。
「……そうだったんですね」
「何を言われたのかは聞いてないわ。でも、さしづめ秋斗くんには近寄るなって内容なんじゃない?」
 当たりだよ。でも……そんな生易しい言葉じゃなかったけれど。
「……少し違うかな? 雅さんは教えてくれたんです。秋斗さんのお嫁さんになる人は子どもを産める健康な体じゃないといけないとか――」
 は……?
「……翠葉ちゃんはそれを真に受けたの?」
「真に受けたというか……納得してしまったんです」
 翠葉さん……あれはどんなに都合よく受け取っても「助言」とは言えないと思うんだけど……。
 彼女の言葉に危機感を覚えたのか、栞ちゃんの声が少し硬質なものへと変化した。
「翠葉ちゃん、ちゃんと自分で納得したことならこんなふうに葛藤はしないものよ? 雅の言うことなんて気にしなくていいの。翠葉ちゃんがどうしたいか、それだけよ? それにね、結婚なんてまだ考えなくていいの。付き合ったからってその人と結婚しなくちゃいけないなんてことないんだから」
 確かにね……。彼女はまだ十七歳だ。
 でも、もし付き合うとしたら俺は結婚するつもりでいるけれど……。
 もともと開いていたドアを軽くノックする。と、ふたりの視線がこちらを向いた。
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