光のもとでⅠ
「あのですね、ツカサは違いますよ? ツカサは――優しくて厳しい保険屋さんです」
 風間先輩に、「は?」という顔をされたけど、かまわず話し続ける。
「ほら、現にあのツカサがステージで歌を歌っちゃうくらいに好きな人がいるわけで……」
 私、何しているんだろう……。
 自分で傷口に塩をすり込んでいる気分だ。
 ふと、会場から聞こえてくる音に意識が逸れる。
 会場が沸くのはツカサを見てのことだろう。
 モニターに映るツカサは表情を見るだけで機嫌が悪いことがうかがえる。
 歌が始まって少しすると、風間先輩がピュー、と口笛を吹いた。
「あいつがあんな歌い方するとはね? シャウトっぽくていいじゃん。なのに、音を外してないから憎いよな。ルックスいいし、音程いいし、うちの部に欲しいくらいだ」
 歌はDREAMS COME TRUEの「何度でも」。
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