光のもとでⅠ
 翠の好きな男って誰だ……。
 少し前までなら限られた男しか周りにいなかった。
 紅葉祭の準備が始まってから、吹奏楽部の人間や軽音部、フォークソング部、各委員会と関わる人間が異様に増えた。
 その中の誰かなのか、それとも秋兄なのか――。
 自分という選択肢がないだけにイラつきは増すばかりだ。
 もう少し距離を取っていれば良かったのか……。
 それとも、とっとと「好きだ」と伝えていれば良かったのか。
 なんにせよ、「保険屋」になんてなるんじゃなかった……。
< 6,527 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop